くじらすいそう

鯨と申します。特撮や映画など、諸々について書いていきたいです。 Twitter:@Cuzilla0723

「平成ライダーって何から見ればいいの?」への最終回答

平成ライダー多すぎる。あまりにも多すぎる。

2000年の『仮面ライダークウガ』に始まり、翌2001年の『仮面ライダーアギト』、翌々2002年『仮面ライダー龍騎』、2003年『仮面ライダー555/ファイズ』、2004『剣/ブレイド』、『響鬼』『カブト』

・・・もういいだろう。『ゼロワン』以降のいわゆる令和ライダーも含めると、テレビシリーズだけでなんと22作品もある。(2021年3月現在)

ここに劇場版、アマゾンオリジナルコンテンツ、てれびくんハイパーバトルムービーその他もろもろあるのだから、映像コンテンツだけでも途方もない量だ。

※当記事では「平成ライダー」を「クウガ以降に発表された、作品名に『仮面ライダー』がつく映像コンテンツ全て」とする。異論はあるだろうが、ご容赦願いたい。

 

さて、これだけ多くの作品があると、現時点で平成ライダーにハマっていない皆さんはこう思うことだろう。

平成ライダーってどっから見りゃいいの~~~~!!!!」

え、別に思ってない?いや、思っているはずだ。思っていることにさせてくれ。

と言うか別に誰にも聞かれてない問に勝手に答えてああでもないこうでもないと言いたいだけなんだから、あなたが思っていようといまいと俺は話を続けるぞ。

 

というわけで、当記事では平成ライダーの入門編として最も適切なものを様々な回答を比較しながら吟味していきたい。「好きなのから見ればいいよ。作品間は繋がってないんだし。」では味気ないしね。

 

回答1:「第1作目から見るのが一番だよ」

仮面ライダークウガ』)

これはまぁ、最初に思いつく回答だろう。

確かに、『クウガ』は名作だ。めちゃくちゃ面白い。

連続殺人を遊戯として愉しむ凶悪な存在「グロンギ」に、とにかく人の良い好青年の冒険家「五代雄介」と堅物で仕事熱心な刑事「一条薫」が立ち向かうこの作品は、徹底的に「お約束」を排してリアリティーにこだわった、ある種の刑事モノとしても面白い。

 

だが、1つ大きな問題がある。

クウガ』は平成ライダーの原点でありながら、シリーズきっての異色作なのだ。

先に述べたような「お約束」を排したリアルな作劇は平成ライダーの中でも類を見ない。何より、この作品には仮面ライダーが「クウガ」1人しか登場しないのだ。他の平成ライダーでは、少なくとも2人の仮面ライダーが登場する。

クウガ』を見て、「平成ライダーってこんな感じなのか」と思われたら、次の作品の視聴につなげるのは難しいのではないだろうか。(第2作目の『アギト』を見てもらえばいいのは全くもってそうなのだけどベストとは言い切れない。『アギト』を「クウガっぽくないから」と嫌いになってしまうかもしれない。)

 

回答2:「短いのから見てもらおう」

(『ディケイド』、『アマゾンズ』、劇場版諸作品)

平成ライダーを勧める上での最大の難点、それは1作品ずつが長いことだ。

平成ライダー(テレビシリーズの場合)は毎週1話ずつ、1年かけて1作品を放映する。これは通常のテレビアニメ4クール分に相当する。

要するに、テレビシリーズを1作品見ることは、30分×約50話を見ることになる。忙しい現代人に対して、いや、あまり忙しくない人にも、この分数は勧めづらい。

 

そこで、この回答である。

 

劇場版諸作品に関しては、「本編見てないのにいきなり?」と思う人もいるだろう。

しかし、『劇場版仮面ライダー555 パラダイス・ロスト』など、本編とは全くパラレルで、本編を知らなくても(あらすじ程度の予備知識だけで)楽しめる作品は結構ある。中でも『パラダイス・ロスト』はとにかくライダーがカッコいいアクションを繰り広げてくれるのでオススメだ。

ただ、もちろん本編を見た上での方が楽しめる。最初から劇場版を勧めるのは確かに突飛すぎるだろう。

 

仮面ライダーディケイド』は平成ライダー10周年を記念した記念作で、テレビシリーズでありながら放映期間が半年、全25話と比較的コンパクトな作品だ。『クウガ』から『キバ』までの9つの番組の仮面ライダーが登場するので、2作目への興味を惹きやすいのも1作目に適している。

しかし、よく言われるように最終回が。あの「続きは劇場版で」の投げっぱなしエンドは、初見の方は呆気にとられるだろう。(ちなみに、放送当時も非難轟々だった。BPOにも怒られた。)実質的な最終回である劇場版も、「俺たちの冒険はこれからだ!」的な終わり方で、賛否が大きく分かれる印象だ。(俺は好きだけどね)

 

では、『仮面ライダーアマゾンズ』はどうだろうか。アマプラで見れるし。シーズン1(全13話)とシーズン2(こちらも全13話)の二部構成だが、1だけでも十分面白い。というか2のストーリーがツラすぎる。

障壁が1番低いのはこの作品だろうが、やはりグロいので勧めづらい。上に述べたように、ストーリーもあまりに悲劇的でツラいので、これを見たとして「次も見よう」という気力は起きないかもしれない。(めちゃくちゃ面白いんだけどね。でも僕はあまりにツラいから二度と見れない)

 

回答3:「『平成ライダーっぽい』作品から見てもらおう」

(『アギト』『龍騎』『カブト』『鎧武』)

先ほど、『クウガ』は1作目に見るにはあまりにも異色で勧めづらいという話をした。

ならば、「平成ライダーらしい」作品を見てもらえばよい。当然の発想だ。

 

平成ライダーらしさ」とは何か。

「複数のライダーがわちゃわちゃする感じ」ではないだろうか。

 

そういう意味では『アギト』は3人の異なる境遇の仮面ライダーたちをそれぞれの視点で描いた群像劇だし、『龍騎』はなんと13人もの仮面ライダーが登場し、それぞれの願いをかけて戦いあう名作バトルロワイアルだ。

『カブト』も、キャラの濃い(「濃い」と一口で済ませるにはあまりに濃すぎる)ライダーたちがなんかわちゃわちゃやってて凄く楽しい作品で、『鎧武』は虚淵玄脚本らしい神話モチーフが散りばめられたSF作品でありながらも、世界を変える力を求める仮面ライダーの青年たちの戦いを描いていて、「大人とは何か?」「力とは何か?」に迫るある種の哲学的な面白さもある。

 

だが、この回答には大きな問題点がある。

それは、『劇場版仮面ライダージオウ Over Quartzer』を見た読者はお分かりだろう、平成ライダーらしさ」なんてものはない。平成ライダーは何かの枠に収まるような単純でお行儀の良いコンテンツでは決してない。

 『ジオウOQ』を見た我々(と言うか、私)にとって、「これが1番『平成ライダーっぽい』からこれから見てよ」とは中々言えるものではない。

 

じゃあ、どうしようか?

ここで行き止まりになってしまった感がある。

どれから勧めても、結局のところ、一長一短ではないだろうか。

それぞれに様々な魅力がある作品群のうち、一体どれから見てもらえば「沼にハメられる」だろうか。

 

・・・いや、「沼にハメる」のが正しい在り方なのか?

我々は(というか、私は)、他人に何を勧めるか考えていたはずだ。いつの間にか、「どうすればこいつを確実に沼に引きずり込んでオタクにできるか」、そんなことを考えてしまっていたんじゃないか?

それではまるでゾンビ、いや、アナザーアギト(ジオウに出てきた方)じゃないか。

本当に大事なのは「楽しんでもらうこと」のはずだ。平成ライダーという最高の作品群の楽しさを伝えることのはずだ。そうか。答えはもう、出ていたんだ…!

 

 

最終回答:どっからでも入ってくれればいい!あなたが楽しめそうな作品を見てくれ!

平凡な答えだが、こういうことになってしまう。だって、平成ライダーはそれぞれがそれぞれに面白いんだもん。こういう回答にしかなり得ない。

 

「そうは言っても、結局何から見ればいいかわからない」そういう読者もいるだろう。なんせあまりにも作品数が多い。僕はそんな読者の皆さんに言いたい。

「俺たちオタクが何のためにツイートしてると思ってるんだ」

そう、我々は日々、あの作品は脚本がどうとか、あのライダーのデザインがどうだとか、ああだこうだと面白いところ(や、時には面白くないところ)をツイートなり記事なりにして、インターネットに放流している。それを読んで興味が湧いた作品をとりあえず見てほしい。

テレビシリーズに関しては1話と2話が公式からYouTubeにアップされているので、気軽に見始めることができる。3話以降や劇場版その他は東映特撮専門のサブスク、TTFC(東映特撮ファンクラブ)を使うのがオススメだ。過去作だけでなく、現行作品の最新話まで見ることができる。月額960円と少々お高めだが、テレビシリーズ1作品分をレンタルしようとすると1200円はかかるので、まぁ、お得だと言っていいだろう。

 

とにかく、平成ライダーはそれぞれに輝いていて、その歴史はあまりに芳醇だ。

そして、その平成ライダーへの扉は、あなたのすぐ目の前であなたの手で開かれるのを待っている。

 

ご清聴ありがとうございました。この記事が、あなたの平成ライダーの最初の1ページに繋がることを、切に願います。

 

youtube.com

 

tokusatsu-fc.jp